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2026/10/26

非住宅建築物の省エネ計算方法は?2026年の基準や注意点も解説

非住宅建築物の省エネ計算方法は?2026年の基準や注意点も解説

2025年4月から、原則としてすべての新築非住宅建築物に省エネ基準への適合が義務付けられました。さらに2026年4月には、中規模非住宅建築物の一次エネルギー消費性能(BEI)の基準も引き上げられています。

非住宅建築物の省エネ計算では、建物の規模や用途に応じたBEIの基準を確認し、標準入力法やモデル建物法などから適切な計算方法を選ぶ必要があります。当記事では、2026年度の省エネ基準やBEIの考え方、3つの計算方法、計算時に注意したいポイントを分かりやすく解説します。

1.2025年4月より原則すべての新築非住宅建築物に省エネ基準適合が義務化

2025年4月1日から、原則としてすべての新築非住宅建築物に、省エネ基準への適合が義務付けられました。これまでは小規模な非住宅建築物は適合義務の対象外でしたが、制度改正により、延べ面積300m²未満の建物にも対象が広がっています。

対象となる建築物では、設計時に一次エネルギー消費量などが基準を満たしているかを確認する必要があります。建築確認が必要な建築物では、省エネ基準への適合性もあわせて審査されます。ただし、床面積10m²以下の建築物や、空調設備を設ける必要がない建築物、文化財などは適用除外です。

出典:国土交通省「令和7年4月1日から省エネ基準適合の全面義務化や構造関係規定の見直しなどが施行されます!!」

1-1.2026年4月より中規模の非住宅建築物の省エネ基準は引き上げに

2026年4月1日から、中規模の非住宅建築物に適用される省エネ基準が引き上げられました。対象は延べ面積300m²以上2,000m²未満の非住宅建築物で、同日以降に省エネ適判を申請する建築物には新しい基準が適用されます。

これまで中規模非住宅の一次エネルギー消費性能(BEI)の基準は用途を問わず1.00でしたが、改正後は工場等が0.75、事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等が0.80、病院等・飲食店等・集会所等が0.85となりました。大規模非住宅と同じ水準となるため、設計時には用途に応じた基準値の確認が必要です。

出典:国土交通省「中規模非住宅建築物に係る省エネ基準の引上げについて」

2.非住宅建築物の省エネ計算で求める「一次エネルギー消費性能(BEI)」とは?

一次エネルギー消費性能(BEI)は、非住宅建築物が基準となる建物と比べて、どの程度省エネであるかを示す指標です。設計した建物の一次エネルギー消費量を、地域や建物用途、室の使用条件などから定められる基準一次エネルギー消費量で割って求めます。

計算式は「BEI=設計一次エネルギー消費量÷基準一次エネルギー消費量」です。なお、事務機器などの「その他一次エネルギー消費量」は除いて計算します。BEIは数値が小さいほど省エネ性能が高いことを示し、求められる基準値は建物の規模や用途によって異なります。省エネ基準への適合判定にも使われます。

出典:国土交通省「省エネルギー基準:一次エネルギー消費性能」

2-1.非住宅建築物の省エネ基準適合に必要なBEIの水準

2026年度の非住宅建築物では、建物の規模と用途によって、省エネ基準適合に必要なBEIの水準が異なります。大規模建築物では、工場等が0.75、事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等が0.80、病院等・飲食店等・集会所等が0.85です。

2026年度の一次エネルギー消費性能(BEI)の水準

規模用途一次エネ(BEI)の水準
大規模(2,000m2以上)工場等0.75
事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等0.80
病院等・飲食店等・集会所等0.85
中規模(300m2以上2,000m2未満)工場等0.75
事務所等・学校等・ホテル等・百貨店等0.80
病院等・飲食店等・集会所等0.85
小規模(300m2未満)―1.00

出典:国土交通省「中規模非住宅建築物に係る省エネ基準の引上げについて」

2026年4月からは、300m²以上2,000m²未満の中規模非住宅にも大規模と同じ用途別基準が適用されます。一方、300m²未満の小規模非住宅は1.00です。BEIは数値が小さいほど高い省エネ性能が求められるため、計画する建物の規模と用途に該当する基準値を確認する必要があります。

3.非住宅建築物の省エネ計算方法

非住宅建築物の省エネ計算には、建物の規模や計算の詳しさに応じて複数の方法があります。主な方法は、標準入力法、モデル建物法、モデル建物法(小規模版)の3つです。ここでは、それぞれの特徴と使い分けを解説します。

3-1.標準入力法で建物の省エネ性能を詳細に計算する

標準入力法は、非住宅建築物の各室について、床面積や外皮性能、設置する設備機器などの情報を入力し、省エネ性能を詳しく計算する方法です。大規模・中規模・小規模のいずれの非住宅建築物にも使用でき、3つの計算方法の中で最も詳細な評価ができます。建物全体を大まかに評価するモデル建物法より入力項目が多く、設計内容を細かく反映できる点が特徴です。

複数の用途がある建物でも、室単位で情報を入力するため、一度の計算で建物全体の省エネ基準への適否を判断できます。一方、室数が多い建物では入力作業が増えやすい点に注意が必要です。計算には建築研究所のWebプログラムを使用し、一次エネルギー消費性能に加えて外皮性能を示すBPIも算出できます。

出典:国土交通省「建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」

3-2.モデル建物法で省エネ性能を簡易的に計算する

モデル建物法は、非住宅建築物をあらかじめ定められた用途のモデル建物に当てはめ、建物全体の外皮性能や主な室で使う設備機器の情報を入力して省エネ性能を計算する方法です。標準入力法のようにすべての室を細かく入力する必要がなく、入力項目が少ないため、比較的簡単に計算できます。入力内容が分かりやすい点も特徴です。

一方、複数の用途を含む建物では、用途ごとに計算する必要があります。計算には建築研究所のWebプログラムを使用し、一次エネルギー消費性能に加えて外皮性能を示すBPImも算出できます。省エネ適判でも広く利用されており、標準入力法より作業量を抑えながら、建物の省エネ性能を確認したい場合に使いやすい方法です。

出典:国土交通省「建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」

3-3.300m2未満ならモデル建物法(小規模版)で計算する

モデル建物法(小規模版)は、非住宅部分の床面積の合計が300m²未満の場合に利用できる、小規模な非住宅建築物向けの簡易な計算方法です。通常のモデル建物法を基に、入力項目を約130項目から約90項目へ減らし、外皮に関する面積の入力も不要とすることで、計算に必要な作業を抑えています。

一方、入力項目を減らしているため、昇降機やコージェネレーション設備など一部の設備は評価できず、計算結果も安全側、つまり省エネ性能が低めに算出される傾向があります。計算では、建築研究所が公開する専用の入力シートに設備などの情報を入力し、Webプログラムへアップロードして省エネ基準への適合を確認します。2025年4月1日以降に着工する新築等の省エネ適判でも使用できます。

出典:国土交通省「建築物省エネ法 講習テキスト(小規模非住宅建築物設計者用)」

4.非住宅建築物の省エネ計算を行うときの注意点

非住宅建築物の省エネ計算では、工事内容や建物の規模、室の用途によって、計算や審査の対象範囲が変わります。主に以下の3点に注意が必要です。

■増改築は、増改築を行う部分だけが適合対象になる

2025年4月以降の増改築では、原則として建物全体ではなく、増改築を行う部分について省エネ基準への適合を確認します。そのため、既存部分まで新築時と同じように計算するわけではありません。

■平屋かつ200m²以下では、条件を満たせば省エネ適判を省略できる

平屋で延べ面積200m²以下の建築物は、所定の条件を満たす場合、省エネ基準への適合性審査を省略できます。ただし、省エネ適判が不要でも、省エネ基準への適合義務までなくなるわけではありません。

■工場の製造室など、一部の室は評価対象外になる

工場で物品を製造するための室や、データセンターの電算機室などは、標準的な使用条件を設定しにくいため、一次エネルギー消費量の評価対象外となる場合があります。一方、事務室や休憩室、便所などは評価対象となります。

出典:国土交通省「令和4年度改正建築物省エネ法の概要」

出典:国土交通省「【建築物省エネ法第11・12条】適合性判定の手続き・審査の合理化について」/

出典:国土交通省 国土技術政策総合研究所・国立研究開発法人建築研究所「エネルギー消費性能計算プログラム(非住宅版)モデル建物法(小規模版)入力マニュアル Ver.3.10.1」

まとめ

非住宅建築物では、2025年4月から原則としてすべての新築建築物に省エネ基準への適合が義務付けられています。さらに2026年4月からは、中規模非住宅建築物についても大規模非住宅と同じ用途別のBEI基準が適用されるようになりました。

省エネ性能を計算する方法には、詳細に評価できる標準入力法、入力を簡略化したモデル建物法、300m²未満で利用できるモデル建物法(小規模版)があります。増改築や小規模な平屋、一部の工場・データセンターなどでは計算や審査の扱いが異なる場合もあるため、建物の規模・用途・工事内容を確認した上で、適切な方法を選ぶことが重要です。

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