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住宅性能評価
2026/10/26
LEED認証を取得するメリットは?日本の認証事例と注意点を解説
LEED認証は、建物の環境性能を国際的な基準で示せる制度で、ESG投資やテナント誘致を行う際に説明材料として活用できます。保有する建物の環境認証としてLEED認証が候補に挙がっても、取得して何が得られるのか、どの程度の手間と期間を見込むべきかが分からないという方もいるでしょう。
当記事では、LEED認証の仕組み、取得で得られるもの、用途別の認証事例、検討段階で確認しておく点を解説します。社内で取得の可否を検討する際にぜひ参考にしてください。
1. LEED認証とは?
LEED認証は、米国の非営利団体USGBCが開発・運用し、GBCIが審査を行う建築物の環境性能評価システムです。USGBCはU.S. Green Building Council、GBCIはGreen Business Certification Inc.の略称です。LEED認証は建築や都市の環境を対象に、設計から運用までの環境性能を評価します。
出典:一般社団法人グリーンビルディングジャパン「LEEDとは」
認証を受けるには、グリーンビルディングとして備えるべき必須条件を満たした上で、選択項目のポイントを取得する必要があります。必須条件と選択項目のポイントは認証システムごとに設定されており、プロジェクトの種類に応じて、新築や大規模改修を対象とするBD+Cなど6つの認証システムから最もふさわしいものを選べます。
出典:一般社団法人グリーンビルディングジャパン「LEED認証システム・クレジット」
認証レベルは、取得したポイントの合計に応じて次の4段階に分かれます。
| 認証レベル | 必要なポイント |
|---|---|
| 標準認証(Certified) | 40〜49ポイント |
| シルバー | 50〜59ポイント |
| ゴールド | 60〜79ポイント |
| プラチナ | 80ポイント以上 |
2. LEED認証を取得するメリット
自社で環境性能の高さを説明しても、取引先や投資家にどこまで伝わるかは判断しにくいところです。ここでは、第三者が共通の基準で評価する国際的な認証を取得することで得られるものを、3つの観点に分けて解説します。
2-1. 国際的な基準で環境性能を客観的に示せる
LEED認証は第三者機関が共通の基準で評価するため、環境への取り組みを対外的に示す客観的な指標として使えます。自己評価では尺度がそろわず、建物ごとの性能を同じ基準で比較できません。
米国では、州政府や地方自治体の建物に助成金などのインセンティブが用意されています。日本では同様の仕組みが限られているため、他の建築物との差別化や、優れた環境性能を対外的に示す指標として活用するケースが多くなっています。取得の目的は環境性能の説明にあると社内で共有しておくと、稟議の論点がぶれません。
2-2. 環境性能を重視するテナントへ訴求できる
LEED認証を取得した建物は、環境意識の高いテナントへの訴求材料になります。特に外資系企業は、国際的に通用するLEEDを日本国内のCASBEEより好む傾向にあり、外資系テナントの誘致で有利に働く材料です。
良好な職場環境の実現による知的生産性の向上といった副次的な効果を狙うケースもあります。訴求材料としてどこまで効果的かはエリアや物件の条件で変わるため、周辺の競合ビルで認証取得が進んでいるかを先に確認しましょう。
2-3. ESG投資や不動産の評価で材料として活用できる
LEED認証は、不動産の環境性能を示す指標として投資家や金融機関への説明に活用できます。グリーンボンドなどを通じた機関投資家からの資金調達基盤の強化は、取得によるメリットの1つです。また、投資家が企業を格付けするGRESB評価でも、建築物の環境認証は重要な役割を担う項目として扱われています。
稟議を進める際は、投資家向け説明資料や統合報告書のどの項目に認証取得を記載するかを、担当部署とあらかじめすり合わせておきます。記載先が定まっていないと、取得後に効果を社内へ示す場面で説明がぶれてしまうので注意しましょう。
3. 用途別に見るLEED認証の認証事例
日本国内でも、オフィスビルから物流施設までさまざまな建物がLEED認証を取得しています。グリーンビルディングジャパンの日本のLEED認証プロジェクト リストに載っている件数は、2026年9月15日時点で415件です。ここでは認証事例を3つに分けて紹介します。
3-1. オフィスビルの認証事例
事務所用途では、ビル全体を対象とした認証と、テナント専有部を対象とした認証の両方が取得されています。東京都の麻布台ヒルズ森JPタワーは、オーナー所掌範囲を評価するLEED v4 BD+C: CSで、最上位のプラチナを2025年に取得しました。
出典:一般社団法人グリーンビルディングジャパン「日本のLEED認証プロジェクト リスト」
複合ビルの北の丸スクエアに入居するMSD東京本社は、専有部を対象とするLEED v4 ID+C: CIでシルバーを2023年に取得し、地下鉄3駅を使える立地から立地と交通のカテゴリーで高得点を得ました。取得する際は、自社が所有者かテナントかで選ぶ認証システムが変わるため、認証の対象範囲を先に決めましょう。
3-2. 商業施設・店舗の認証事例
商業施設では、施設全体で取得する事例と、店舗の内装だけを対象に取得する事例に分かれます。施設全体の事例では、群馬県のIKEA 前橋が商業施設向けのLEED v4 BD+C: Retailでゴールドを2024年に取得しました。
出典:一般社団法人グリーンビルディングジャパン「日本のLEED認証プロジェクト リスト」
内装を対象とした事例では、ハウス オブ ディオール ギンザがLEED v4 ID+C: Retailでシルバーを2023年に取得し、熱的快適性と室内照明のクレジットで満点を獲得しました。内装のみで取得する場合は建物本体の設備をオーナーが所有しているため、評価対象の線引きを賃貸契約で確認しましょう。
3-3. 物流施設・倉庫の認証事例
新築や大規模改修で建てる倉庫や物流施設は、BD+Cのなかの倉庫と配送センターの区分で評価されます。
出典:一般社団法人グリーンビルディングジャパン「LEED BD+C」
千葉県のGLP ALFALINK 流山 8は、LEED v4 BD+C: WDCでゴールドを2022年に取得しました。4階建てで敷地面積155,093平方メートルの施設で、太陽光とクリーンな電力で運営されています。
出典:一般社団法人グリーンビルディングジャパン「GLP ALFALINK 流山 8」
群馬県のP&G 高崎サプライ倉庫も、同じ区分でシルバーを2026年に取得しました。
出典:一般社団法人グリーンビルディングジャパン「日本のLEED認証プロジェクト リスト」
既存の倉庫を運用段階で評価する場合は、LEED v4のO+Mにある倉庫と配送センターの区分が対象になるため、新築とは別の認証システムを選びます。
出典:U.S. Green Building Council「LEED certification deadlines」
4. LEED認証の取得を検討する際の注意点
LEED認証には、取得を決めてから着手すると間に合わない項目があります。登録できる版の期限、審査の回数と費用、必要な計算の体制は、設計が動き出す前に確認しておきましょう。ここでは、検討段階で確認しておく点を3つに分けて解説します。
4-1. 認証システムと評価システムの版を早い段階で決める
2026年10月時点の最新版はLEED v5で、LEED v4とv4.1も期限までは登録できます。USGBCは、LEED v4とv4.1の登録受付終了日を2027年6月30日、認証取得の期限を2033年6月30日と公表しています。
出典:U.S. Green Building Council「LEED certification deadlines」
登録受付が終わった版では新規の登録ができず、認証取得の期限を越えると審査の申請も受け付けられません。版ごとに期限が決まっているため、着工時期から逆算してどの版で登録するかを、USGBCの最新情報で確認しましょう。
4-2. 登録から認証までの期間と申請の費用を工程に織り込む
LEED認証の審査は段階に分かれ、GBCIは各段階の結果を20〜25営業日で返します。まず予備審査で書類の不足と要件への適合を確認し、追加資料が必要なら最終審査へ進む流れです。最終審査の結果に不服があれば、別途費用を払って再審査を申請できます。
費用は、登録時の登録料と申請時の審査料の2種類がかかり、審査料は延床面積、認証システム、審査の種類によって決まります。設計段階と施工段階に分けて審査を受ける場合、審査の間に延床面積が増えると追加の審査料が発生します。
出典:U.S. Green Building Council「Guide to LEED Certification: Commercial」
4-3. エネルギー性能の計算に対応できる体制を整える
LEED認証では、エネルギーと大気のカテゴリーでエネルギー性能の計算が評価に関わります。評価カテゴリーの構成は版によって変わり、LEED v4では次の9つです。
- 統合的なプロセス
- 立地と交通
- 持続可能な敷地
- 水利用効率
- エネルギーと大気
- 材料と資源
- 室内環境品質
- 革新性
- 地域的な優先事項
エネルギーと大気は、革新的な方法によるエネルギーの効率的な利用を促進するカテゴリーです。効率の良さを評価の場で示すには、認証システムや評価方法に応じたエネルギー消費量の計算が必要になります。
出典:一般社団法人グリーンビルディングジャパン「LEED クレジット」
必須条件を満たせないと認証を受けられないため、計算を社内で担うか外部へ委託するかを設計の早い段階で決めておきましょう。
まとめ
LEED認証は、USGBCが開発しGBCIが審査する環境性能評価システムです。必須条件を満たした上で選択項目のポイントを積み上げ、合計点に応じて4段階の認証レベルが決まります。日本国内ではオフィスビルから物流施設まで用途の異なる建物が取得しており、自社に近い認証事例が説明材料になります。
検討の際に確認したいのは、登録できる版の期限、審査の段階と費用、計算に対応できる体制です。省エネ計算を社内で対応しにくい場合は、代行会社への委託が選択肢になります。省エネナビゲーターでは、省エネ計算代行会社の業務範囲や実績、料金、納期を整理して比較できます。依頼先を検討する際に、ぜひご活用ください。


