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住宅性能評価
2026/10/26
CASBEE-不動産とは?評価項目や認証取得の流れ・メリットを解説
CASBEE-不動産は、既存建築物の環境性能を評価し、不動産の開発や取引、情報開示などに活用できる評価ツールです。省エネルギーや水、資源利用、安全性、生物多様性、屋内環境などを一定の基準で確認することで、建物の環境性能を客観的に把握できます。認証を取得すれば、第三者機関の審査を経た評価として投資家やテナントなどへ示すことも可能です。
当記事では、CASBEE-不動産の仕組みや対象物件、評価項目と評価方法、認証取得の流れ、取得するメリットまで分かりやすく解説します。
1. CASBEE-不動産とは
CASBEE-不動産は、既存建築物の環境性能を、不動産の開発や取引でも活用しやすい形で評価するツールです。ここでは、仕組みとほかのCASBEE評価ツールとの違いを解説します。
1-1. 既存不動産の環境性能を評価する仕組み
CASBEE-不動産は、竣工後1年以上が経過し、1年以上の運用実績データがある既存建築物を対象に、環境性能を評価する仕組みです。不動産の開発や取引に関わる人が活用しやすいよう、不動産評価との関係が強い項目に絞って評価します。
建物の省エネルギー性や資源利用、屋内環境などを確認し、一定の基準に沿って環境性能を可視化します。投資家や不動産会社、建物所有者、テナントなどが、建物の環境面の特徴を把握する際にも活用できます。そのため、環境配慮を不動産の情報として捉えやすい点も特徴です。
1-2. ほかのCASBEE評価ツールとの違い
CASBEE-不動産は、不動産市場での活用を想定し、評価項目を重要なものに絞って簡略化している点が、ほかのCASBEE評価ツールとの大きな違いです。主な違いを整理すると、次の通りです。 目的や建物の段階に応じて、適した評価ツールを使い分けます。
| 評価ツール | 主な対象 | 特徴 |
|---|---|---|
| CASBEE-不動産 | 既存建築物 | 不動産市場向けに評価項目を絞る |
| CASBEE-建築(新築) | 新築建築物 | 設計仕様と予測性能で評価 |
| CASBEE-建築(既存) | 既存建築物 | 運用実績で評価 |
| CASBEE-建築(改修) | 既存建築物 | 改修設計などに活用 |
2. CASBEE-不動産の対象物件
CASBEE-不動産では、竣工時期や用途などに評価対象の条件があります。ここでは、評価対象となる建築物の条件や用途、複合用途の場合の考え方を解説します。
2-1. 評価対象となる建築物の条件
CASBEE-不動産の評価対象は、竣工後1年以上が経過した既存建築物です。評価には1年以上の運用実績データが必要で、実際のエネルギー使用量や水使用量など、運用後に得られる情報を使って環境性能を確認します。
CASBEE不動産評価認証では建物規模は問われませんが、CASBEE-不動産の対象用途が建物に含まれている必要があります。評価を検討する際は、まず竣工時期と用途を確認し、あわせて1年以上の運用実績データを用意できるか確認すると、対象となる物件か判断しやすくなります。
2-2. 評価対象となる建物用途
CASBEE-不動産で評価できる主な建物用途は、オフィス、店舗、物流施設、ホテル、集合住宅の5種類です。これらは2024年版のCASBEE-不動産で評価対象として示されており、複数の対象用途を含む建築物も評価できます。
用途によってエネルギーや水の使われ方、屋内環境などの特性が異なるため、評価基準も用途ごとに設定されています。評価する建物がどの用途に該当するかを確認し、それぞれに対応する評価基準を用いることで、用途の特徴を踏まえた環境性能の評価につながります。
2-3. 複合用途の建築物を評価する場合の考え方
複合用途の建築物では、対象となる用途ごとにCASBEE-不動産の評価を行い、それぞれの結果を床面積の割合に応じて加重平均し、建物全体の総合得点を算出します。オフィスと店舗、集合住宅などが1つの建物に入る場合も、用途ごとの違いを反映して評価します。
評価対象外の用途が建物内に含まれる場合は、その部分のエネルギーや水の消費量と床面積を除いて評価します。複合用途を1つの用途としてまとめるのではなく、用途別に評価してから結果を組み合わせることで、各用途の環境性能を建物全体の評価へ反映できます。
3. CASBEE-不動産の評価項目と評価方法
CASBEE-不動産では、建物の環境性能を5つの分野に分け、必須項目への適合と加点項目の得点から評価します。ここでは、評価項目とランクが決まる仕組みを解説します。
3-1. 環境性能を5つの分野で評価する
CASBEE-不動産では、建物の環境性能を「エネルギー/温暖化ガス」「水」「資源利用/安全」「生物多様性/敷地」「屋内環境」の5分野で評価します。エネルギー消費だけでなく、安全性や敷地、建物内の環境まで確認する仕組みです。評価項目は建物用途によって一部異なるため、対象用途に対応した基準を使って評価します。
| 分野 | 主な評価内容 |
|---|---|
| エネルギー/温暖化ガス | エネルギー使用量、CO2排出量 |
| 水 | 水使用量 |
| 資源利用/安全 | 耐震性、再生材、維持管理 |
| 生物多様性/敷地 | 生物多様性、土壌、交通、災害リスク |
| 屋内環境 | 昼光、自然換気、眺望 |
3-2. 必須項目と加点項目によって評価する
CASBEE-不動産は、5つの分野それぞれに設けられた必須項目を確認し、その上で加点項目の評価点を積み上げる方式です。加点方式で評価し、合計点は100点満点となります。
必須項目では、省エネルギー性能や水使用量の管理、耐震性、生物多様性への配慮、屋内環境など、建物に求める基本的な環境性能を確認します。すべての必須項目を満たすことが評価の前提です。その後、各加点項目を基準に沿って採点し、取り組みや性能に応じて点数を加えます。こうして得た合計点が、建物全体の環境性能を数値で比較し、最終的なランクを決める基礎になります。
3-3. 評価結果に応じてランクが決まる
CASBEE-不動産では、必須項目への適合を前提に、加点項目を含む合計得点によってB・B+・A・Sの4段階でランクを示します。評価結果シートでは、得点が高いほど上位のランクとなり、星の数でも表示されます。基準は次の通りです。
| ランク | 評価の目安 |
|---|---|
| B(★★) | 必須項目を満たし50点以上60点未満 |
| B+(★★★) | 60点以上66点未満 |
| A(★★★★) | 66点以上78点未満 |
| S(★★★★★) | 78点以上 |
Sランクが最上位で、Bランクから段階的に環境性能の高さを確認できます。点数とランクを合わせて見ることで、専門的な評価項目を1つずつ確認する前でも、建物全体の環境性能がどの水準にあるかを把握しやすくなります。
4. CASBEE-不動産評価認証を取得する流れ
CASBEE-不動産評価認証は、評価員による評価と申請図書の作成、認証機関での審査、認証書の交付という順に進みます。ここでは、取得までの3つの段階を解説します。
4-1. CASBEE不動産評価員が評価・申請図書を作成する
CASBEE-不動産評価認証を申請する前に、登録されているCASBEE不動産評価員が建物を評価し、申請図書を作成します。評価員は、CASBEE-不動産の評価ツールを用いて環境性能を確認し、その結果と評価根拠を示す資料を申請に必要な形へまとめます。
申請者は原則として建築主または所有者ですが、評価そのものと申請資料の作成は、申請時点でIBECsに登録されているCASBEE不動産評価員が担当します。申請図書には評価員の氏名や評価員番号、建物の用途や所在地などの情報も含まれます。評価結果と、その判断を裏付ける資料をそろえることで、認証機関による審査へ進める状態になります。
4-2. 認証機関へ申請して審査を受ける
申請図書が整ったら、IBECsが認定したCASBEE評価認証機関へ申請し、評価内容が適切か審査を受けます。CASBEE不動産評価認証は第三者機関が評価内容の的確性を確認する制度で、申請方法や審査費用は認証機関ごとに確認します。
審査では、提出した評価結果や根拠資料が確認され、必要に応じて申請図書の修正や追加資料の提出、現地調査を求められる場合があります。通常のCASBEE不動産評価認証はIBECsが認定した認証機関で受け付けているため、申請前に対象機関へ必要書類や提出方法、費用、審査の進め方を確認しておくと、手続きを進めやすくなります。
4-3. 認証書の交付を受けて有効期間を確認する
審査を経て認証されると、認証書、評価結果、認証票が交付され、認証の概要も公表されます。CASBEE-不動産の認証有効期間は、認証書を交付した日から5年間です。取得後は認証書に記載された交付日を確認し、有効期限を管理します。
認証書や認証票は、認証物件に関する説明や広告、Webサイトなどで活用できます。有効期間を過ぎた後は表示方法に制限があるため、継続して認証を示す場合は期限を意識した管理が必要です。認証の表示を続ける際は、有効期間の確認が重要です。物件名や申請者名、所在地の表記などに変更が生じた場合は、所定の変更届を提出し、認証書の再発行を受けることもできます。
5. CASBEE-不動産の認証を取得するメリット
CASBEE-不動産の認証は、建物の環境性能を第三者評価として示し、社外への情報開示にも活用できます。ここでは、認証を取得する3つのメリットを解説します。
5-1. 環境性能を第三者評価として客観的に示せる
CASBEE-不動産の認証を取得すると、建物の環境性能を第三者機関による審査を経た評価として示せます。CASBEE評価認証制度では、評価内容の正当性や透明性を確保するため、認証機関が評価内容を審査し、的確であることを認証します。
認証後は認証書や認証票が交付され、広告物やWebサイトなどで認証物件であることを示せます。自社による説明に加えて、第三者による確認を受けた評価として提示できるため、建物の環境性能を社外へ説明する際の根拠として活用しやすくなります。環境配慮の取り組みを、評価結果やランクとともに具体的に伝えられる点もメリットです。
5-2. 投資家やテナントへの情報開示に活用できる
CASBEE-不動産の認証結果は、投資家やテナントへ建物の環境性能を説明する情報として活用できます。CASBEE-不動産は、不動産評価での活用を目的に、不動産評価との関係が強い環境項目へ絞って開発された評価ツールです。
認証を取得した評価結果は広告物やWebサイトで公開できるため、物件を取得・賃借する側が環境性能を確認しやすくなります。不動産の開発や取引に関わる関係者へ、共通の評価基準に基づく結果を提示できる点も特徴です。物件情報に環境性能を加えることで、投資判断や入居検討に使える情報を充実させやすくなります。
5-3. ESGや環境配慮への取り組みを示しやすくなる
CASBEE-不動産の認証は、省エネルギー、水、資源利用、安全、生物多様性、屋内環境などへの取り組みを評価結果として示す手段になります。共通の評価基準で環境性能を整理できるため、ESGのうち主に環境面の取り組みを説明する材料として活用できます。
CASBEE-不動産2024年版では、企業の情報開示との関係を踏まえ、サプライチェーン排出量の算定に関連するホールライフカーボンの評価も任意項目として追加されています。認証結果や評価内容を情報開示に活用することで、環境配慮の取り組みを伝えやすくなり、ESG情報を補足する材料にもなります。
まとめ
CASBEE-不動産は、運用実績のある既存建築物を対象に、環境性能を5つの分野から評価するツールです。評価では必須項目への適合と加点項目の得点を確認し、結果に応じてB・B+・A・Sのランクが示されます。
認証を取得する際は、CASBEE不動産評価員による評価と申請図書の作成、認証機関での審査を経て認証書の交付を受けます。取得した認証は、建物の環境性能を第三者評価として示すほか、投資家やテナントへの情報開示、ESGや環境配慮への取り組みを伝える材料としても活用できます。


