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BELS(ZEH・ZEB)
2026/10/26
ZEBの義務化はいつから?対象建築物・基準・今後の対応を解説
ZEBの義務化という言葉は広まっているものの、自社の計画にいつから何が求められるのかまでは分かりにくいという方も多いでしょう。ZEBの認証取得そのものが一律に義務付けられている制度ではありません。段階的に進んでいるのは、建築物省エネ法にもとづく省エネ基準の引き上げです。
当記事では、2025年4月の適合義務化から2026年4月の中規模非住宅建築物の基準強化、遅くとも2030年度までのZEB水準への引き上げ方針までを時系列で解説します。対象建築物の範囲と用途・規模ごとのBEIの基準値、企業や建築主が今から進めておきたい準備もあわせて紹介します。
1. ZEBの義務化はいつから?遅くとも2030年度までに省エネ基準をZEB水準へ引き上げる方針
ZEBそのものの取得を一律に義務付ける時期は、現時点では定められていません。国が示しているのは、遅くとも2030年度までに新築建築物の省エネ基準をZEB基準の水準まで引き上げる方針です。すでに2025年4月には、原則としてすべての新築住宅・非住宅建築物に省エネ基準への適合が義務付けられました。
2026年4月からは、中規模の非住宅建築物に求められる基準が大規模建築物と同じ水準まで引き上げられています。義務化は一度に切り替わらず、対象と水準を段階的に広げながら2030年度へ向かいます。ZEBの認証取得と省エネ基準の強化を分けて考えることが、必要な対応を見極める出発点です。
2. ZEB水準への省エネ基準引き上げのスケジュール
省エネ基準への適合義務化・引き上げは、2025年・2026年・2030年度の3つの節目で進みます。節目ごとに対象となる建築物と求められる水準が異なるため、自社の計画がどの段階に当たるかを先に押さえておくと、準備の順序を組み立てやすくなります。
| 時期 | 主な内容 |
|---|---|
| 2025年4月 | 原則すべての新築住宅・非住宅建築物に省エネ基準への適合を義務化 |
| 2026年4月 | 中規模非住宅建築物(延べ面積300m2以上2,000m2未満)の基準を大規模と同じ水準へ引き上げ |
| 遅くとも2030年度 | 新築建築物の省エネ基準をZEB基準の水準まで引き上げる方針 |
2-1. 2025年4月:原則すべての新築住宅・建築物に省エネ基準への適合を義務化
2025年4月1日以降に工事へ着手する新築住宅・非住宅建築物は、原則として省エネ基準への適合を求められます。改正前は延べ面積300m2以上の非住宅建築物などに限られていた適合義務が、住宅を含む小規模な建物まで広がりました。基準に適合しない計画では建築確認が下りないため、設計段階で省エネ計算を済ませておく必要があります。
2-2. 2026年4月:中規模非住宅建築物の省エネ基準を引き上げ
2026年4月1日から、延べ面積300m2以上2,000m2未満の中規模非住宅建築物に適用される省エネ基準が引き上げられています。改正前は用途を問わずBEI1.00以下でしたが、改正後は建物用途ごとにBEI0.75以下~0.85以下の基準値が設定され、大規模非住宅建築物と同じ水準です。用途ごとの適合状況を踏まえ、基準値は15~25%強化されました。
新旧どちらの基準が適用されるかは、省エネ適判を申請した時期で決まります。2026年4月1日以降に省エネ適判を申請する建築物には、新しい基準が適用されます。
2-3. 遅くとも2030年度:新築建築物の省エネ基準をZEB水準まで引き上げる方針
遅くとも2030年度までに、新築建築物の省エネ基準はZEB基準の水準まで引き上げられる方針が示されています。エネルギー基本計画などで示された目標で、2030年度以降の新築建築物にZEB基準の水準を求める方向です。ここで示されているのは、将来の義務基準として目指す省エネ性能であり、ZEBの各区分に該当することを一律に求める内容ではありません。
ZEB ReadyやNearly ZEBといったZEBの各区分と、省エネ基準の引き上げを分けて押さえると、自社に必要な対応を見誤らずに済みます。具体的な施行時期や制度上の適用方法は今後の制度改正で定まるため、国土交通省が公表する資料を定期的に確認しておくと、変更点を早い段階で把握できます。
3. ZEB水準への引き上げに向けた対象建築物と求められる基準
2026年度の基準と2030年度までに目指す水準は異なります。対象範囲と規模・用途別のBEIを分けて確認しましょう。
3-1. 新築の非住宅建築物:原則として適合が必要な省エネ基準
2025年4月以降、新築の非住宅建築物は規模を問わず原則として省エネ基準への適合が必要です。事務所・店舗・学校・病院・ホテル・工場など、幅広い用途が対象です。延べ面積300m2未満の建物は改正前まで説明義務にとどまっていましたが、現在は小規模な建物も適合義務の対象建築物に含まれます。
ただし、延べ面積10m2以下の建築物など政令で定める一部は対象から外れるため、すべての新築建築物が一律に義務付けられるとは限りません。自社の計画が対象に当たるかを判断する際は、延べ面積・用途・着工時期に加え、適用除外の有無も確認しましょう。
3-2. 建物の規模・用途:区分に応じて異なる省エネ基準
省エネ基準への適合はBEIという指標で判定されます。BEIは、設計した建物の一次エネルギー消費量を、同じ規模・用途の建物に定められた基準一次エネルギー消費量で割った値です。数値が小さいほど省エネ性能が高く、用途ごとの基準値以下であれば適合と判定されます。
2026年度時点の基準値は、規模と用途によって次の通りに分かれます。
| 用途 | 大規模(2,000m2以上)・中規模(300m2以上2,000m2未満) | 小規模(300m2未満) |
|---|---|---|
| 工場等 | 0.75以下 | 1.00以下 |
| 事務所等、学校等、ホテル等、百貨店等 | 0.80以下 | 1.00以下 |
| 病院等、飲食店等、集会所等 | 0.85以下 | 1.00以下 |
出典:国土交通省「中規模非住宅建築物の省エネ基準が引上げられます!」
表の数値は、太陽光発電設備とコージェネレーション設備の自家消費分を含んだ値です。中規模非住宅建築物は2026年3月末までBEI1.00以下が基準のため、4月をまたぐ計画は申請時期で適用基準が変わります。小規模非住宅建築物の1.00以下は当面据え置きですが、将来の引き上げが方針として示されています。
3-3. 2030年度までに目指すZEB水準:用途・規模に応じた一次エネルギー消費量の削減基準
遅くとも2030年度までに目指す水準として、規模と用途ごとのBEIの目標値が示されています。延べ面積300m2以上の建築物は用途に応じて0.60以下または0.70以下、300m2未満の小規模非住宅建築物は0.80以下が目標です。
| 規模(延べ面積) | 用途 | BEIの水準 |
|---|---|---|
| 300m2以上 | 事務所等、学校等、工場等 | 0.60以下 |
| 300m2以上 | 病院等、集会所等、ホテル等、百貨店等、飲食店等 | 0.70以下 |
| 300m2未満 | 用途を問わない | 0.80以下 |
※上表の水準は、コージェネレーション設備の発電量のうち自家消費分を含む条件で示されています。
出典:国土交通省「中規模非住宅建築物の省エネ基準が引上げられます!」
注意したいのは、ZEB Readyの要件との違いです。ZEB Readyは、再生可能エネルギーを除いて基準一次エネルギー消費量から50%以上削減し、BEI0.50以下を満たす建築物です。一方、省エネ基準の引き上げに向けて示された水準は、用途・規模に応じてBEI0.60以下~0.80以下です。ZEBの各区分とは数値も位置づけも異なるため、混同しないよう注意しましょう。
出典:環境省「ZEBの定義」
4. 省エネ基準のZEB水準への引き上げに向けて企業・建築主が取り組むべきこと
基準強化に備え、設計の早い段階から省エネ性能の確認と申請準備を進めましょう。
4-1. 省エネ性能を確認して省エネ計算・申請の準備を早めに進める
設計の初期段階で省エネ計算を行い、計画中の建物のBEIがどの水準にあるかを確認します。早い段階でBEIが分かっていれば、基準に届かない場合も仕様の見直しで調整でき、着工直前の設計変更を避けられます。省エネ計算に必要となる主な仕様は次の通りです。
- 外皮の断熱性能と窓の仕様
- 空調設備の種類と能力
- 換気設備の方式と制御方法
- 照明設備の器具と点灯制御
- 給湯設備の熱源と配管
- 太陽光発電設備やコージェネレーション設備の有無
仕様を洗い出した後は、エネルギー消費量が大きい設備から優先して見直すと、効率的に省エネ性能を高めやすくなります。適合の見通しが立てば、建物の規模や用途に応じて、省エネ適判や建築確認などに必要な図書の作成へ進めます。
4-2. ZEBや省エネ計算に詳しい専門家へ早めに相談する
省エネ計算や適合判定を自社だけで進めるのが難しい場合は、省エネ計算代行会社やZEBに詳しい専門家へ早めに相談しましょう。依頼先は、対応できる規模・用途、省エネ適判やBELS評価への対応範囲、仕様提案の可否、費用・納期、実績を比較し、計画に合う会社を選びます。早期に相談先を決めることで、設計と申請を円滑に進めやすくなります。
まとめ
ZEBの義務化という言葉が使われていますが、ZEBの認証取得が一律に義務付けられている制度ではありません。進んでいるのは省エネ基準の段階的な引き上げで、2025年4月には原則すべての新築住宅・非住宅建築物へ適合義務が広がりました。
2026年4月には、中規模非住宅建築物の基準が用途に応じてBEI0.75以下~0.85以下へ引き上げられ、遅くとも2030年度までに目指す水準は、用途・規模に応じてBEI0.60以下~0.80以下です。
自社の計画がどの規模と用途に当たるかを確認すれば適用される基準値が定まり、早い段階で省エネ計算へ着手できます。判断に迷う部分は省エネ計算やZEBに詳しい専門家へ相談し、余裕をもって申請の準備を整えましょう。


