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BELS(ZEH・ZEB)
2026/10/26
ZEHには複数の種類がある|分類や2027年からの新基準も解説
ZEHには複数の種類があり、省エネ性能や太陽光発電などによる創エネ量、建築する地域の条件によって適した区分が変わります。「ZEH」と「Nearly ZEH」は何が違うのか、ZEH+にはどのような追加要件があるのか、判断に迷う方もいるでしょう。
また、2027年4月からは、断熱・省エネ性能やエネルギー管理の基準を強化した「GX ZEH」シリーズが運用開始予定です。当記事では、ZEHを構成する基本要素から現行5種類の違い、種類を選ぶ際の判断基準、GX ZEHシリーズで変わるポイントなどを解説します。
1. ZEHとは
ZEH(ゼッチ)とは、「Net Zero Energy House」の略称で、住宅で使う年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロ以下にすることを目指した住宅です。高い断熱性能と省エネ設備によって使うエネルギーを減らし、太陽光発電などでエネルギーをつくることで収支を調整します。快適な室内環境を保ちながら、省エネルギー化と再生可能エネルギーの活用を両立する住宅です。ここでは、ZEHを支える3つの要素を解説します。
1-1. ZEHを構成する「断熱・省エネ・創エネ」の3要素
ZEHは、「断熱」「省エネ」「創エネ」の3つを組み合わせて実現します。断熱では、壁・床・屋根・窓などの性能を高め、住宅内外の熱の移動を抑えます。
省エネでは、高効率な空調・換気・給湯・照明設備を導入し、生活に必要なエネルギー消費量を減らします。さらに創エネでは、主に太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入して電力をつくります。これらを組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロ以下へ近づけます。
2. 【一覧比較】戸建住宅のZEHは5種類に分類される
戸建住宅のZEHは、省エネ性能や創エネによる削減率、立地条件などによって5種類に分けられます。ここでは、それぞれの基準と違いを比較しながら解説します。
2-1. ZEH
「ZEH」は、高い断熱性能と省エネ設備、再生可能エネルギーを組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロ以下にする住宅です。断熱性能はZEHの外皮基準を満たし、太陽光発電などの再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を、基準となる住宅より20%以上削減する必要があります。
さらに、再生可能エネルギーを導入し、それを含めた一次エネルギー消費量の削減率を100%以上とします。つまり、断熱と高効率設備で使用するエネルギーを減らしたうえで、太陽光発電などで生み出すエネルギーを加え、年間収支をゼロ以下にする考え方です。Nearly ZEHやZEH Orientedと比べる際は、再生可能エネルギーを含む削減率100%以上が大きな違いです。
2-2. ZEH+
ZEH+は、「ZEH」よりも高い断熱性能と省エネ性能を備え、再生可能エネルギーの自家消費まで重視した住宅です。2025年4月からの新定義では、断熱等性能等級6を満たし、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量を基準から30%以上削減することが求められます。
また、再生可能エネルギーを含む削減率を100%以上とし、自家消費を拡大する設備または高度エネルギーマネジメントのうち1つ以上を採用します。自家消費拡大の例には、蓄電池や電気自動車の充放電設備、太陽光発電による沸き上げが可能な高効率給湯器、太陽熱利用給湯システムなどがあります。「ZEH」より住宅自体の性能を高め、発電したエネルギーを住宅内で有効に使うことまで重視した区分です。断熱・省エネ・創エネに加えて、エネルギーの使い方まで評価する点が特徴です。
2-3. Nearly ZEH
Nearly ZEHは、「ZEH」と同じ断熱・省エネ性能を確保しながら、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率を75%以上100%未満とする住宅です。ZEHの外皮基準を満たし、再生可能エネルギーを除いた削減率は基準一次エネルギー消費量から20%以上とする必要があります。
再生可能エネルギーも導入しますが、「ZEH」の100%以上には届かない水準を対象としています。環境省では、寒冷地、低日射地域、多雪地域で目指すべき水準として位置付けています。日射量や積雪などの条件によって十分な創エネ量を確保しにくい地域でも、断熱と省エネを進めながら年間のエネルギー収支をゼロに近づけるための区分です。「ZEH」との主な違いは、創エネを含む削減率の基準にあります。
2-4. Nearly ZEH+
Nearly ZEH+は、Nearly ZEHの要件を満たしたうえで、ZEH+と同じ高い断熱・省エネ性能や追加要件を備える住宅です。2025年4月からの新定義では、断熱等性能等級6を満たし、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量を基準から30%以上削減することが求められます。
再生可能エネルギーを含む削減率は75%以上100%未満です。さらに、再生可能エネルギーの自家消費を拡大する設備または高度エネルギーマネジメントのうち1つ以上を採用します。創エネ量の基準はNearly ZEHと同じですが、住宅そのものの断熱・省エネ性能とエネルギー活用の要件が強化されている点が大きな違いです。日射や積雪などの条件が厳しい地域でも、より高い住宅性能を目指す区分として整理できます。
2-5. ZEH Oriented
ZEH Orientedは、ZEHと同等の断熱・省エネ性能を確保しながら、再生可能エネルギーの導入を必須としない住宅です。ZEHの外皮基準を満たし、太陽光発電などの再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量を、基準となる住宅から20%以上削減することが求められます。
対象は、太陽光発電設備の設置に制約が生じやすい都市部狭小地等や多雪地域です。都市部狭小地等には、北側斜線制限の対象となる用途地域等にあり、敷地面積85㎡未満などの条件があります。多雪地域は、建築基準法で定める垂直積雪量が100cm以上の地域です。創エネ設備を設置しにくい立地でも、断熱と省エネによってZEH水準の性能を目指せる仕組みです。立地上の制約を考慮した区分といえます。
3. ZEHの種類を選ぶときの4つの判断基準
ZEHの種類を選ぶ際は、創エネ量や敷地条件、求める省エネ性能、利用したい補助制度を順に確認することが大切です。ここでは、4つの判断基準について解説します。
3-1. 太陽光発電などで必要な創エネ量を確保できるか確認する
ZEHの種類を選ぶときは、太陽光発電などで必要な創エネ量を確保できるか確認します。「ZEH」は省エネと創エネを合わせて一次エネルギー消費量を100%以上削減することが基準で、Nearly ZEHは75%以上100%未満です。屋根の広さや方位、周辺建物の日陰などを踏まえ、発電量を確認します。
創エネ量を十分に確保できる場合は「ZEH」、対象地域で100%に届きにくい場合はNearly ZEHが候補になります。ZEH+とNearly ZEH+でも、再エネを含む削減率はそれぞれ100%以上、75%以上100%未満です。設計段階で発電量と消費量を計算し、どの区分の基準を満たせるか確認することが重要です。
3-2. ZEH Orientedの対象となる敷地・地域条件か確認する
ZEH Orientedを選ぶ場合は、建築予定地が対象となる敷地・地域条件に該当するか確認します。対象は、都市部狭小地等または多雪地域です。都市部狭小地等は、北側斜線制限の対象となる用途地域等にあり、敷地面積が85m2未満の土地を指し、平屋建ての住宅は対象から除かれます。
多雪地域は、建築基準法で定める垂直積雪量が100cm以上の地域です。ZEH Orientedでは再生可能エネルギーを導入しない計画も認められますが、ZEHと同等の外皮基準と、省エネによる一次エネルギー消費量20%以上の削減が求められます。太陽光発電の設置条件だけでなく、まず所在地と敷地条件を確認して対象可否を判断します。
3-3. ZEH+水準の高い省エネ性能が必要か検討する
ZEH+を選ぶかは、ZEHより高い断熱・省エネ性能や、再生可能エネルギーの自家消費をどこまで重視するかで検討します。2025年4月以降のZEH+は、断熱等性能等級6を満たし、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量を30%以上削減することが基準です。
さらに、蓄電池やEV充電・充放電設備などによる自家消費拡大、またはHEMSを使った高度エネルギーマネジメントのうち1つ以上を採用します。高い断熱性能や省エネ性、自家消費の拡大を重視する場合はZEH+が候補です。設備の導入内容や建築費、将来のエネルギー利用も含め、求める住宅性能とのバランスを確認しながら選ぶことが大切です。
3-4. 利用する補助制度の対象要件を確認する
補助制度を利用する場合は、検討しているZEHの種類が対象要件を満たすか、設計を固める前に確認します。補助事業ごとに対象となる住宅性能、地域区分、対象者、導入設備、申請時期などが定められており、ZEHとZEH+で補助額が異なる制度もあります。
2026年度の環境省「住宅の脱炭素化促進事業」では、新築戸建住宅のZEHとZEH+に定額補助が設定され、地域区分によって補助額も分かれています。また、「みらいエコ住宅2026事業」にはZEH水準住宅を対象とする枠があります。補助制度は年度ごとに内容や受付期間が変わるため、最新の公募要領と公式サイトを確認してからZEHの種類や設備仕様を決めることが大切です。
4. 2027年4月から「GX ZEH」シリーズが適用予定
GX ZEHシリーズは、現行ZEHより断熱・省エネ性能やエネルギー管理の基準を強化し、区分に応じて蓄電池などの設備要件を追加した新基準で、2027年4月以降の適用が予定されています。ここでは、主な変更点と4区分を解説します。
4-1. 現行ZEHからGX ZEHで変わる主な基準
現行ZEHからGX ZEHへの移行では、断熱性能、省エネ率、エネルギー管理などの基準が強化されます。主な変更点は次の通りです。
- 断熱性能
戸建住宅では断熱等性能等級6以上が共通要件となります。 - 省エネ率
再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量の削減率は、現行ZEHの20%以上から35%以上へ引き上げられます。 - エネルギー管理
GX ZEHシリーズでは、高度エネルギーマネジメントの導入が必須です。 - 蓄電池
GX ZEH+、GX ZEH、Nearly GX ZEHでは、定置用蓄電池が必須となります。 - 創エネを含む削減率
GX ZEH+は115%以上、GX ZEHは100%以上115%未満、Nearly GX ZEHは75%以上100%未満です。
GX ZEHシリーズは2027年4月以降の適用が予定されています。GX ZEH Orientedでは再生可能エネルギー未導入も認められ、現行ZEHの新規認証取得は2028年3月まで可能とされています。
4-2. GX ZEH+
GX ZEH+は、GX ZEHシリーズの中で再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が最も高い区分です。断熱等性能等級6以上を満たし、太陽光発電などの再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を基準から35%以上削減します。さらに、再生可能エネルギーを導入し、それを含めた削減率を115%以上とすることが要件です。
戸建住宅では、高度エネルギーマネジメントと定置用蓄電池も導入します。高度エネルギーマネジメントでは、HEMSで再生可能エネルギーの発電量などを把握し、冷暖房設備や給湯設備、蓄電池などを制御できる仕組みを整えます。再生可能エネルギーは敷地内に導入し、全量売電方式は対象外です。GX ZEHが再エネ込み100%以上115%未満であるのに対し、GX ZEH+は115%以上とする点が大きな違いです。そのため、GX ZEHシリーズの中で、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が最も高い区分です。
4-3. GX ZEH
GX ZEHは、高い断熱・省エネ性能と再生可能エネルギーを組み合わせ、年間の一次エネルギー消費量を正味ゼロ以下にすることを目指す新しい区分です。断熱等性能等級6以上を満たし、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量を基準から35%以上削減します。
さらに再生可能エネルギーを導入し、それを含む削減率を100%以上115%未満とすることが要件です。
戸建住宅では、高度エネルギーマネジメントと初期実効容量5kWh以上の定置用蓄電池も必須です。HEMSによって太陽光発電などの発電量を把握し、冷暖房設備や給湯設備、蓄電池などを制御できるようにします。現行の『ZEH』と同じく再生可能エネルギー込みで100%以上の削減を目指しますが、省エネのみの削減率は20%以上から35%以上へ強化され、断熱性能やエネルギー管理、蓄電の要件も追加されます。GX ZEH+との違いは、再生可能エネルギーを含む削減率が115%未満である点です。現行ZEHより住宅性能と自家消費の仕組みを強化した基準です。
4-4. Nearly GX ZEH
Nearly GX ZEHは、GX ZEHと同じ高い断熱・省エネ性能を備えながら、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率を75%以上100%未満とする区分です。断熱等性能等級6以上を満たし、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量を基準から35%以上削減したうえで、太陽光発電などの再生可能エネルギーも導入します。
戸建住宅では、高度エネルギーマネジメントと定置用蓄電池も必須です。日射量や積雪などの条件から再生可能エネルギーによる100%以上の削減を達成しにくい地域でも、断熱・省エネ性能やエネルギー管理はGX ZEHと同水準を確保します。現行のNearly ZEHと比べ、省エネのみの削減率が20%以上から35%以上へ引き上げられ、エネルギー管理と蓄電池の要件も加わります。創エネ量を確保しにくい地域向けの高性能区分です。
4-5. GX ZEH Oriented
GX ZEH Orientedは、太陽光発電などの再生可能エネルギーを導入しにくい地域でも、高い断熱・省エネ性能を確保するための区分です。断熱等性能等級6以上を満たし、再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量を基準から35%以上削減します。再生可能エネルギーの導入は必須ではなく、GX ZEH+、GX ZEH、Nearly GX ZEHで求められる定置用蓄電池も必須要件には含まれません。
高度エネルギーマネジメントはGX ZEH Orientedでも必須です。対象は都市部狭小地等または多雪地域で、都市部狭小地等は北側斜線制限の対象となる用途地域等にある敷地面積85m2未満の土地で、平屋建てを除きます。多雪地域は建築基準法で規定する垂直積雪量100cm以上の地域です。立地上の制約で十分な創エネ量を確保しにくい場合でも、住宅自体の性能とエネルギー管理をGX ZEH水準へ高めます。再エネ設備についても、建築地や屋根形状などを踏まえた導入検討が推奨されています。
まとめ
ZEHは、断熱・省エネ・創エネを組み合わせ、住宅で使う年間の一次エネルギー消費量を抑える住宅です。現行制度では、「ZEH」「ZEH+」「Nearly ZEH」「Nearly ZEH+」「ZEH Oriented」があり、必要な創エネ量、省エネ性能、敷地や地域の条件などによって適する区分が変わります。
種類を選ぶ際は、太陽光発電などで確保できる創エネ量、ZEH Orientedの対象地域に該当するか、ZEH+水準の性能が必要か、利用する補助制度の要件を確認することが大切です。また、2027年4月からはGX ZEHシリーズが運用開始予定で、断熱等性能等級6以上、省エネ率35%以上など、現行ZEHより高い性能が求められます。これから住宅を建てる場合は、現行制度と新基準の両方を確認しながら計画を進めましょう。


